不動産評価

原価法について【不動産鑑定士試験学習講座第2回】

 

こんにちは。

 

本日は不動産鑑定士試験の第2回目の講座です。

テーマは原価法について

 

この記事でわかること

  • 原価法の性質やその内容
  • 原価法に関連する過去問など

 

実際の実務を多く経験してきた不動産鑑定士による講義ですので、是非参考にしてみて下さい。

 

 

 

原価法の定義、性質など

原価法の定義

 

【原価法の定義】
原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について原価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を積算価格という。)

 

【原価法の有効性】
原価法は、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効であり、対象不動産が土地のみである場合においても再調達原価を適切に求めることができるときはこの手法を適用することができる
この場合において、対象不動産が現に存在するものでないときは、価格時点における再調達原価を適切に求めることができる場合に限り適用することができるものとする。

 

【解説】

定義の中身については以下で解説しますので読み進んでください。

 

原価法は建物又は建物及びその敷地である場合において有効。

土地のみである場合においても再調達原価が適切に把握できる場合にはこの手法を適用することができる。

 

と鑑定評価基準に記されています。

更地に原価法を適用する場合というのは、基本的に埋立地を想定しています。

即ち土地の埋め立てに関わる費用を適切に算出することができるならば有効な鑑定評価の手法だということです。

 

このような埋立地が評価対象となることは実務上も極めて少ないため、同手法は、原則的に対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合に有効になるということになります。

 

 

原価法の性質

原価法とは価格の3面性のうち、「費用性」に着目して求めた鑑定評価の手法です。

 

価格の3面性についてご存知ない方は前回の記事を参考にしてみて下さい。

 

あわせて読みたい
取引事例比較法とは。【不動産鑑定士試験学習講座第1回】

続きを見る

 

第1回目の講座で基本的な論文式試験の解き方についても載せています。併せて参考にして下さい。

 

少し話がそれましたが、つまり原価法とは、その財産にどれほどの費用が投下されたものであるのか、主に「費用性」に着目して求めた鑑定評価の手法になります。

 

具体的な例を示すと、

 

例1:機械 人件費:10,000円、材料費:5,000円、利益:3,000 機械の評価額:18,000円
例2:借地権 権利金50,000,000円 借地権の評価額:50,000,000円

 

結局、ある財に対して、取得するためにどの程度コストがかかっているからいくら。

という手法が原価法です。

 

再調達原価と減価修正

再調達原価の査定

【再調達原価の定義】
再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額をいう。
なお、建設資材、工法等の変遷により、対象不動産の再調達原価を求めることが困難である場合には、対象不動産と同等の有用性を持つものに置き換えて求めた原価(置換原価)を再調達原価とみなすものとする。

 

再調達原価とは簡潔に言うと、対象不動産を評価する時点で再度調達する場合に必要となる費用のことを言います。

 

本来ならば実際の建築単価の積み上げなどを行うべきなのですが、積算だけでも莫大な作業量になります。

 

そのため、実務上は建物品等のグレードに応じた単価を建設業者等からのヒアリングにより調査し、建築単価として採用する方法が一般的です。

 

なお、評価基準では

◯ 直接法

・総価格積算法:対象不動産の使用資材等の単価積算をおこなって求める方法

・総価格調査法:対象不動産の建設に要した費用の明細に分析・修正を行い、かつ、時点修正をおこなって求める方法

が記されていますが、そのほかにも直接工事費に変動率を乗じて求める変動率直接適用法などの手法もあります。

 

◯ 間接法

・建設費比較法:類似の不動産の建設費の明細を分析・修正を行い、かつ、時点修正ならびに地域要因及び個別的要因の比較

を行って求める方法。

などの手法が記されております。

 

私が業界に入った時代には既に、現在の実務と同様の手法がメインであり、単価を積算したり、明細を分析したりなどは行っていませんでした。

 

それもそのはず、昔はほんの数ページの評価書で報酬が100万を超えていることもザラにあったという話を聞いたことがあります。

 

話はそれましたが、評価基準に準拠すると、以上のような手法があり、まずは、実際の建物建設に要する費用などを求めることが必要になるのです。

 

減価修正の適用

減価修正の定義

【減価修正の定義】

減価修正の目的は、減価の要因に基づき発生した減価額を対象不動産の再調達減価から控除して価格時点における対象不動産の適正な積算価格を求めることである。
減価修正にあたっては、減価の要因に着目して対象不動産を部分的かつ総合的に分析検討し、減価額を求めなければならない。

 

再調達原価とはいわば評価時点における新築の状態を想定しています。

 

ただ、評価対象となる不動産というのは、通常建築後一定期間経過していることが普通ですし、設備などは古臭くなっており、周辺の不動産と比べて見劣りし、市場性が低下している場合もあるのです。

 

そこで積算価格を求めるにあたっては、これらの要因に基づく原価を再調達原価から控除しなければならないと言っているのです。

 

減価の要因とその具体的内容

【減価の要因】

  • 物理的要因:物理的要因としては、不動産を使用することによって生ずる摩滅及び破損、時の経過又は自然的作用によって生ずる老朽化並びに偶発的な損傷が挙げられる。
  • 機能的要因:機能的要因としては、不動産の機能的陳腐化、すなわち、建物と敷地との不適応、設計の不良、形式の旧式化、設備の不足並びにその能率の低下等が挙げられる。
  • 経済的要因:経済的要因としては、不動産の経済的不適応、すなわち、近隣地域の衰退、不動産とその付近の環境との不適合、不動産と代替、競争等の関係にある不動産又はその付近の不動産との比較における市場性の減退などがあげられる。

物理的要因は定義をみて頂ければ内容も想像ができるものと思います。

 

ただ、機能的要因や経済的要因については少し難しいので説明を加えさせていただきたいと思っています。

 

機能的要因についての補足建物とその敷地との不適応:例えば都市や時代の変遷に伴い、駐車場が必要となったが建物の配置上スペースが確保できていない、或いは、若い世代で庭が不要なのにもかかわらず、過大な庭が存在し、土地が有効利用されていない場合等。

設計の不良、形式の旧式化、能率の不足:住宅設備としてのキッチン、電気設備等が古くなっている、又は、最新の住宅で採用されているような設備がない。

 

経済的要因についての補足近隣地域の衰退:バブル期は栄華を極めた地域などで、建物の品等は極めて高いが、現在の地域では高価すぎて需要が少ない。

不動産とその周辺の環境との不適合:いわゆる場違い建物(商業性がなくなった地域に立地する汎用性の少ない商業施設)や、古い建物で需要が著しく減退している建物等

 

評価基準にある通りこれらの要因は相互に関連し影響を及ぼしあっているのです。

例えば、設備が旧式化し機能的原価が生じている結果、経済的原価も発生している場合(市場性が低下している場合等)もあります。

 

 

減価修正の方法

減価額をを求めるには、次の二つの方法があり、原則としてこれらを併用するものとする。

と評価基準に記されています。

耐用年数法

 

耐用年数に基づく方法の定義

耐用年数に基づく方法には定額法、定率法があるが、これらのうちいずれかの方法を用いるかは、対象不動産の実情に即して決定すべきである。

この方法を用いる場合には経過年数よりも経済的残存耐用年数に重点を置いて判断すべきである。

なお、対象不動産が二以上の分別可能な組成部分により構成されていて、それぞれの耐用年数又は経済的残存耐用年数が異なる場合に、これらをいかに判断して用いるか、また、耐用年数満了時における残材価額をいかにみるかについても、対象不動産の実情に即して決定すべきである。

 

定率法はその名の通り一定の割合を再調達原価に乗じて減価していくため、元本の高い新築時の方が減価額が大きくなります。

 

日本のように新築が好まれる国で、かつ、一般の住宅の場合などであれば同手法を適用する方が理にかなっているとも言えます。

 

ただ、実務上は定額法を採用している場合が多いです。

 

対象不動産が二以上の分別可能な組成部分により構成されるとは、駆体、仕上げ、設備などのような区分を指しています。

 

設備(キッチン、ユニットバス等)については、一般に10年〜15年で陳腐化するイメージですが、建物駆体部分などは50年以上といったように建物部分に応じて経済的な残存耐用年数は異なるものです。

 

また、経過年数よりも経済的耐用年数に着目すべきとあります。

 

建物は実際の使用している人の使用方法や、リフォームの有無などで、耐用年数は異なるものです。

 

経過年数だけで一律に判定することなどはできないため、実情に応じて耐用年数を判定することが適切と評価基準は説いています。

 

観察減価法

【観察減価法の定義】
観察減価法は、対象不動産について、設計、設備の機能性、維持管理の状態、補修の状況、付近の環境との適合の状態等各減価の要因の実態を調査することにより、減価額を直接求める方法である。

 

観察減価法は、減価の要因に基づく各減価を一つ一つ鑑定士が現地調査を踏まえ判定していく作業です。

 

実務上も達観での判定になる局面が多いため、補正を適用するに当たっては慎重に行う必要があります。

 

過去問研究

原価法の過去問については、「置換減価」についてお話ししたいと思っています。

置換原価とは、すなわち、過去の材料・工法等で建築された建物で、同等品がない場合等に、現代において対象不動産の同等のスペックを有する建物を建築する場合に必要となる原価のことをいいます。

 

ただ、京都の伝統的な建物、即ち、宮大工が建築した建物の場合にはこのような工法、材料自体に価値があるため、安易に置換原価を採用することは妥当でないと評価基準は言っています。

 

原価法の場合は、特に評価基準の基本的な内容をしっかりと理解できていれば回答可能な問題が多くなっています。

 

終わりに

 

本日も当ブログをご覧下さり有り難うございました。

この記事を読んで、不動産の評価を適切に行える方が一人でも増えることを祈っています。

まだまだ私も不動産鑑定士としては未熟者。今後も自己研鑽を積んでいきたいと思いますので、皆さんも一緒に頑張っていきましょう。

 

 

  • この記事を書いた人

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真っ白に燃え尽きるまでやります!!!挑戦→継続→改善、挑戦→継続→改善、たまに休憩。本業(ビジネス・不動産)、副業について呟きます!!反骨の化身。不動産コンサルタント 不動産鑑定士 宅地建物取引士 不動産仲介営業→不動産鑑定会社 ロック好き、子供好き。

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