こんばんわ。
私もせっかく不動産鑑定士であるので、たまには不動産鑑定評価理論についても発信していきたいと思っています。
本日のテーマは取引事例比較法です。
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取引事例比較法と価格の3面性について
皆さんは価格の3面性という言葉をご存知だろうか。
製造業で働く人も、企業の人事部で働く人も、不動産業で働いている人もすべての人に役に立つ考え方なので学んで頂きたいと思っています。
価格の3面性とは
その物にいくらの「費用」が投じられた物であるか。
その物が「市場」でどれだけの価値で取引される物であるか。
その物がどれだけの「収益性」を有しているものか。
という物の価格形成の根拠となる性質を言います。
取引事例比較法とは、主に不動産の「市場性」に着目して価格を求めようとするもので、具体的には他の不動産の取引事例との比較により不動産の価格を試算するものなんですね。
取引事例比較法の定義、有効性
この取引事例比較法については別に不動産だけでなく、どんな物にでも適用できてしまいます。
例えば職場の無能な上司。
社内では年功序列によって優遇されていますが、特に実績やビジネスの能力がない無能な方は当然「市場性」がないため評価額は0となります。笑
ただ、無能な上司の場合取引事例がなさすぎて取引事例比較法が適用できないかもしれませんね。
10年くらい前なのでうろ覚えですがこんな感じだったと思います笑
すいませんね。
一般的にこの手法は不動産業者が皆様のご自宅の価値を査定する際に使用する方法になります。
一般の方が住宅を購入される場合、分譲された土地やマンションが多いと思いますが、バンバン取引があるような地域であると取引事例比較法は有効になるということなんですね。
不動産鑑定士論文式試験の基本
今回は鑑定士試験初記事ということで、論文式試験の基本的な書き方についてご紹介したいと思っています。
それは上位概念から書け!
ということです。
上位概念とはその名の通りその説明しようとするものの上位に位置する概念のこと。
例えば取引事例比較法であれば取引事例比較法が価格の3面性に即した手法であることから価格の3面性について書く。
ということです。
そして、取引事例比較法の定義、有効性と続いていくわけですね。
これが基本ですのでよく覚えておきましょう。
過去問から見た取引事例比較法の性質
取引事例比較法と価格の3面性
取引事例比較法は主に市場性に着目した手法であるとお話しました。
ただ、この取引事例比較法と市場性とは一対一の関係ではないということです。
取引事例比較法を適用する場合に、取引された土地が造成が必要であった場合等には費用面から造成費相当額を個別的要因の比較で反映させる。
収益性の増加を時点修正で反映させる。
このように取引事例比較法とは、市場性を主軸としつつも、費用性、収益性の考え方を内包した手法。
と言えるでしょう。
取引事例比較法の中にも費用性や収益性の考え方が織り込まれているのです。
取引事例比較法で多数の取引事例を収集する理由
上で述べた通り、多数の取引事例を収集することで取引事例比較法の有効性が高まるものですが、
多数の取引事例を収集することの有効性については、鑑定評価基準留意事項にある、この一文に反映されています。
というものです。
すなわち、多数の取引事例を収集することにより
どのような理由でこの価格で取引されたのか。
売り急ぎや買い進みなどの事情があったのではないか。
土地の相場、トレンドを把握する。
取引事例相互の分析により価格形成要因の影響の程度を知ることができる。
ということにつながるといっているのですね。
また、多数の取引事例を取得することで
以下の事例適格4要件を備えたものを選択することができる可能性が高まり、取引事例比較法の精度に質的な側面から客観性を付与することができるのです。
場所的同一性(対象不動産の近隣で取引され、客観性を備えたもの)
事情正常性又は正常補正可能性(個別事情がないもの等)
時間的同一性(取引時点が新しい客観性を備えたもの)
要因比較可能性(各種補正をすることが容易なもの)
すなわち、取引事例比較法の精度を質的・量的な側面から高めていくため多数の取引事例を収集する必要があるということなのです。
終わりに
ちょっと論文調の上から目線で不快な思いをされたかたもいらっしゃるかと思いますがお許しくださいー
少しはお役にたてましたでしょうか。
不定期ですが、時々鑑定士試験勉強に役立つ情報も発信していきますのでよろしくお願いいたします。
今後は、私が実務を通じて得た経験も記事に混入していきたいと思っていきますので宜しく!